2014年12月26日金曜日

帰巣本能

2014年5月27日
廃校になった小学校のプールで、アマガエルが合唱していると聞き、見に行きました。
 ↓水の中は、沢山のオタマジャクシがいて、夜は、34匹のアマガエルが集まっていました。↓

6月2日 
16匹のアマガエルたちが集まり、大合唱でした。
その中に、一匹だけプールの外で、やや小さいアマガエルがじっとしていました。
「お前も、頑張って」と、秘かに応援しました。↓ 

次の3日、その可愛らしい若いカエルはプールの縁で、控えめに鳴いていました。。
鳴袋もあまり膨らんでいません。  そして、18日22日も鳴いていました。


7月5日
その控えめなアマガエルが、お嫁さんを見つけていました。↓
アマガエルの世界は、お嫁さんを見つけるのは、大変なのです。
約30日間観察して、見たカエルの総延べ数365匹のうち、カップルは7組。52分の1の確率です。
私の見たカップルのオスは、全てそんなに大きくありませんでした。
立派な大きなオスが、お嫁さんを見つけるとは、限らないように思いました。
 
折角お嫁さんを見つけたのに、このプールは、7月末に大掃除をする事になっています。
生まれたオタマジャクシは、カエルになる事はできません。
それで、二匹に一晩だけ我が家に来てもらいました。
次の6日、約140ヶの卵が産卵され、ほとんど無事育ち、カエルになり分散して行きました。

産卵後、二匹はプールに帰す予定でしたが、家にいて欲しくなりました。
庭に放すと、パパカエルは、花壇の中に消えました。ママガエルは、とても疲れた様子で、鉢に隠れていましたが、その後二匹の姿を見る事はありませんでした。
 それから、8日経った14日の事です。学校のプールで、あのババカエルが、元気よく鳴いているではありませんか。 ↓
 
帰れたのです。 大きくお腹を膨らませ、大きな美しい声で鳴いていました。
体も回復し、すっかり自信が持てたようです。 
21日が最後で、もうプールに来ることはありませんでした。
追記 写真を整理すると8/11日に再びプールに来ていました。

どうして私の家から、プールまで 帰れたのでしょう。
家から、プールまでは、直線で約300m、途中石垣あり、家あり、荒れ地もあります。
先が見えない小さなアマガエルにとっては、大変です。

  カエルの行動学の本、「カエルの鼻」 石居進著 によると
ヒキガエルは、生まれて分散する時に、通った道の匂いを覚えていて、生まれた池に帰るのだと書かれています。(アマガエルもそうなのか、分かりません。)

匂い ?
分散の時のように、自分で歩いて来たのなら、匂いや道の景色も覚えられるかも知れません。今回は、バケツに入れて、蓋をして運びましたから、分からないはずです。300m離れたプールから漂って来た匂いを頼りにしたのでしょうか。
 音 ?
カエルの合唱の声を頼りにしたのか。プールより、近くに田んぼがあり、そこからは、より大きなカエルの合唱は聞こえていました。もし、合唱を頼りにしたなら、田んぼとプールの合唱を聞き分けた事になります。
天体 磁気 ?
太陽や星や月を見ているのでしょうか。?
磁気を感じるのでしょうか。?

動物の本能はすごいです。

2 件のコメント:

  1. お転婆さま

    いよいよ、2014年ラストのコメント投稿になります。2015年まで2時間を切りました。

    「あまがえるのお話」は、あまがえるのポテンシャルの高さを客観的に伝える科学ブログとして、今年も多くの発見をもたらしたと思います。

    私自身、特に印象に残った(驚いた)内容ベスト3は・・・

    1.コミュニケーションがある
    「他ガエルの行動を見て考える」にもありましたが、クロちゃんとヤエちゃんのような『仲良しさん』の存在。
    「人を使うアマガエル」にあった、お転婆さんとヤエちゃんのコミュニケーション。
    (エサに関して、クロちゃんとお転婆さんのコミュニケーションもあったと思います)

    2.快適さを求める
    ズバリ、お風呂。データから(水分補給だけでなく)「癒し」となっていることは明確。
    これによって、通常の表情と、癒されているときの表情の違いも分かりました。

    3.高い認識能力
    過去のブログテーマである「考えながら、道路横断」、「少し変わると警戒する」、そして今回の「帰巣本能」を見て分かるように、空間を認識する高い能力の存在は、驚くばかりです。

    この2センチほどの小さな身体には、コミュニケーションや認知能力といった非常に高い能力が備わっており、好き嫌いの感情もあります。

    私と同じく読者の皆さまには、このブログを通じて、あまがえるという生き物に関心を持っていただき、これをきっかけに、環境保全や里山文化にも関心・かかわりを持って欲しいと思います。

    お転婆さんにおかれましては、私の難しいリクエストにも丁重にお応えいただき、誠にありがとうございました。そして、1年間お疲れさまでした。

    多くの成果・知見につきまして、心より敬意を表したいと思います。

    単なる生物観察ではなく、人とのかかわりの中で彼らの隠された能力を発見されたことは、本当に素晴らしいことだと思います。

    それは、アカデミアの研究者にはできないアプローチです。

    来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。

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    1. 竹内様

      今年一年を振り返ると、一番は、こうしてコメントをいただき、いろいろな情報をいただけた事です。
      それにより、今は目に見えた成果はなくとも、今後の観察が前進できるような気がします。
      何より、やる気も出て、楽しい一年になりました。
      貴重なお時間を沢山使って下さいました事、大変感謝しています。
      ありがとうございました。

      カエル観察では、私も、カエル同士や人間とのコミュニケーション、快適を感じる能力の発見です。アマガエルは知能は低いと思っていましたが、想像以上に高い事が解ってきました。
      アマガエルには、安易に餌を与えてはいけない事が解ったのも、その一つです。

      プールでの繁殖期の行動観察からも、ヒキガエルのように、がむしゃらに力で、メスを獲得しないで、知能で獲得するように思えました。
      それが、アマガエルは、大きくなる遺伝子より、知恵のある遺伝子が受け継がれ、人間を利用するまで進化したのではないか。?
      ここまで考えると、生物学を知らない者の妄想ですね。
      忘れて下さい。(笑)

      今年は、大勢の皆様に読んでいただく事ができました。
      深く感謝しております。
      嬉しかったのは、子供さんも見て下さっているとの、コメントをいただいた事です。

      科学的な実験、観察や考察はできません。
      低いレベルですが、観察の時間と、アマガエルに対する愛情で、カバーして行きたいと思います。

      アマガエルの可愛らしさと、生物としての重要性、大切にしなければいけない事が伝えられたら、嬉しいです。

      今年もご指導のほど、よろしくお願いします。

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